映画B学校

映画B学校は、とても名前が似ている某映画学校の周辺にころがっている小さなあれこれを、長い毛足で根こそぎからめ取る「B面」で「B級」なサイトです。

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映画美学校界隈に生息する人間をひっとらえて、最新映画について大いに語らう恒例座談会。この作品についてはぜひ、女子のみで催したいと編集担当は胸に決めていた。昨年、新宿武蔵野館で2週間のみレイトショー公開され、今年の2月に再び同館で上映されるという異例の人気ぶりを見せた『At the terrace テラスにて』。ブルジョワジーなパーティーの後で、なんとなくテラスに残った男女7人の会話劇である。「お前酔ってるの?」「酔ってないわよ」の牽制球。「あなたお綺麗よー」「そんなことないですあなたこそー」と熾烈なゆずり合い。そう、女たちは、熾烈にゆずり合うのだ。こういう光景、見覚えないですか。あるいは、身に覚えがないですか。それぞれにチョコ菓子を持ち寄って、こんな顔ぶれが集まった。

兵藤公美
1973年生まれ
1996年青年団入団 俳優として舞台を中心に活動。
2011年より映画美学校アクターズコースに講師として参加。
近年の出演は、演劇 「ソウル市民」「愛のおわり」
映画 「SHARING」「ジョギング渡り鳥」「ふきげんな過去」

鈴木智香子
1977年生まれ。青年団、有限会社レトル所属。近年は、アジア舞台芸術祭への参加や、フランス人ボイスパフォーマーと2度に渡って共同作品を制作し、出演とプロデュースも手掛ける。香川県善通寺市を活動拠点とする劇団サラダボールでの活動も多く、四国学院大学・市民劇『私たちの街の記憶』(3/18-19)では演出補として参加。

中川ゆかり
1984年生まれ。俳優・制作など。会社勤めと並行し、映画美学校アクターズ・コース1期高等科修了。映画『ジョギング渡り鳥』で出演のほか現場中から宣伝、公開後も走りまくる。見せる人・見る人双方の力で像が成長する芸術を志して引き続き走ってます。

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 B学校編集局長は悩んでいた。このところ、映画美学校講師陣がご多忙のあまり、なかなかつかまらない。『淵に立つ』とか『この世界の片隅に』とか、採り上げたい作品は数々あるのに、メンバーを募りきれないまま公開時期が過ぎていく。だって今年最後の企画だ。『スター・ウォーズ』とか『アイアムアヒーロー』とか『シン・ゴジラ』とか、激震しまくっていた2016年の映画界を、我が映画B学校はどう締めくくればいいのか……。

 途方に暮れながらビガッコーをぷらぷらしていたら、「地下教室」から何だか気配がする。

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 前回の「OB編」で「4〜50代の大人はずいぶんアツいらしい」と言及された、どんぴしゃ世代を今回は招いた。『シン・ゴジラ』座談会、映画美学校講師編である。それぞれが、それぞれのゴジラへの思いを、抱いていたりいなかったり。そのコントラストを、ほぼ全面的に掲載しよう。(小川志津子)

高橋洋
脚本家・映画監督。1959年生まれ。昭和29年版『ゴジラ』は子供の頃にテレビで見て衝撃を受けたモロ特撮映画世代。ゴジラ・シリーズに限らず、特撮映画はほぼリアルタイムで劇場で見ていたが、『ヘドラ』あたりを最後にいったん離れる。平成ゴジラから再び何本かを追いかけたが、次第に興味を失ってゆく…。

篠崎誠
1963年生まれ。映画館のリアルタイムゴジラ初体験は『怪獣総進撃』か『モスラ対ゴジラ』(再映)。高1年で「大特撮」(初版)に感銘を受け、文芸坐のスーパーSF大会、日劇のゴジラ大会で改めて昭和29年版『ゴジラ』の凄さに圧倒されるも、1984年版『ゴジラ』に失望。『キングコング対ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』『ゴジラ対へドラ』を偏愛。

鈴木卓爾
映画監督・俳優。1967年生まれ。小学校時、児童文化館で上映してた『ゴジラの息子』『怪獣総進撃』などのソフトな奴から入り好きになる。『ゴジラ対ヘドラ』がトラウマになる。『ゴジラ対メカゴジラ』のテレビ放映時、ラジカセで音のみ録音し毎日聴く。平成ゴジラからはたまにしか見なくなる。

松井周
演出家・劇作家・俳優。1972年生まれ。ゴジラ・シリーズの作品を何かしら観ているかもしれませんが、覚えていません。『ゴジラ』第一作を今回の座談会のために観て、戦後9年でコレをやったのかと驚嘆しました。日本人が抱えていたであろうトラウマに向き合う胆力がすごい。それと似たものを『シン・ゴジラ』にも感じました。

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前回の更新に引き続き、全カリキュラムを終えたばかりの19期生にマイクを向ける。今回は、講師や同級生たちの票を集めて、先日の「セレクション上映会」で上映にこぎつけた人たち。みんなそれぞれに仕事や学校があって、それぞれが来られる時間に来ればいいじゃないかというゆるゆる座談会。先日終えた「セレクション上映会」の感想なんかを聞きながら、来た人からなんとなく、それとなく、この学校で感じた本音なんかを尋ねてみる。途中で突然発言する人がいたら、「ああ、今、来たんだな」と思ってください。(小川志津子)
映画美学校フィクションコース

登壇者:池田昌平、近藤亮太、吉岡資、松尾果歩、永澤由斗、松田春樹、照屋南風(参加順)/星野洋行(ティーチングアシスタント)、松本大志(修了制作デスク)
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フィクション初等科第19期生の濃すぎる1年が終わろうとしている。今年は30本近くもの修了作品が提出された。こっちで監督だった人が、あっちでは録音部だったり、出演者だったりする、そんなアメーバ状態が現在のフィクション初等科の魅力でもある。今年も去年同様、先日行われた「セレクション上映会」で「上映された人」と「されなかった人」に徹底取材。本日は「されなかった人」座談会をみっちりとお伝えしよう。(小川志津子)
映画美学校HP

登壇者:小穴康介、齋藤成郎、高橋理美、西牟田和子/星野洋行(ティーチングアシスタント)、松本大志(修了制作デスク)

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 フィクションコース初等科。昨年9月に始動した19期生が、1年間の学びを終えて、修了作品を製作した。映画美学校は昨年から「撮りたい者は全員撮ってよし」という男気あふれる体制をとっている。幾度もの短編課題提出やシナリオ指導などを経て、提出された修了作品は全部で30本。そこでB学校は考えた。受講生たちの成長を見守ってきた男たちと一緒に、彼らのオススメ作品を観てはどうか。フィクション初等科のTA(教務助手)星野洋行と、修了制作のスケジュールや機材管理を一手に担ったデスクの松本大志に、声をかけた次第である。(小川志津子)

星野洋行 映画美学校フィクション高等科第12期修了生。 フィクション・コースティーチングアシスタント。撮影部。初めてDVキャメラで撮影した映像が、あまりにも自分の知っている「映画」からかけ離れすぎていて愕然とした時からはや数年。最近の追いつくことが難しい程早い、デジタル技術の進化にとまどいながらも、新しいコンテンツはどちらかというと好きな方。余談だが最近、人生初のぎっくり腰になった。

松本大志 映画美学校フィクション高等科第15期修了生。 19期フィクション・コース初等科修了制作デスク。フィクションコース在籍中修了制作には一度も選ばれず、その後第11回CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の助成監督に選ばれ長編『誰もわかってくれない』を監督。近々またまた暗い映画を撮る予定。アナログとデジタルの中間世代(デジタル寄り?)、MD(ミニディスク)とかの世代。最近はビッグコミックスペリオールが盛り返して来た気がします。

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 映画B学校を旗揚げした時、座談会企画ともう一つ、柱にしようと思っていたコーナーがある。映画美学校周辺に暮らす誰かに、みっちり話を聞いて書くということ。「今、なにしてる?」と題されたそのコーナーを、初心に返って更新してみる。9月の「俳優養成講座(アクターズ・コース)」開講を前にご登場いただくのは、アクターズ・コース第1期生にして、同コースのキーパーソンである小田篤。当時事務局にいた局長オガワの主観満載でお届けします!(小川志津子) ※苦みばしったお写真たちは本人による自撮りです

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「市沢紳介」

この企画は映画美学校事務局員の市沢真吾と、周辺をふらついているスズキシンスケが、ひたすらに映画について、そして映画から大きく脱線して「ただ無責任にだべるだけ」の企画である。

今回は二人で『映画 ビリギャル』を見ながら、その本編時間内にコメンタリーという形(+30分オーバー)で「テキトーにお話」をしてみた。
(完全にネタバレですのでご注意を!) 
映画美学校HP 


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【プロフィール】
市沢真吾:(写真右)
映画美学校フィクション・コース第1期修了生。現映画美学校事務局員。本編では触れていないが、『ビリギャル』の撮影は、なんとフィクション・コース修了生の花村也寸志くんがつとめている。いずれ詳しく話を聞いてみたいところだ。 

 

スズキシンスケ:(写真左)
1988年生まれ。映画美学校フィクション・コース第12期修了生。フリーペーパー・20代のための映画情報紙「CinEmotion(シネモーション)」主筆・ライター統括。映画美学校修了生の中でも歴代屈指の器用貧乏=ハイパーメディアジェネラリスト。

収録日:
2016/05/12

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映画美学校を修了した後——あるいは在籍中から——、どちらかといえば血糊ほとばしる映画を撮っている3人である。だから『アイアムアヒーロー』を採り上げるとなったら、速攻で返事が来て、速攻で日時が決まった。いちいちディテール堀りまくりの、三羽ガラスの座談会。ネタバレ全開でまいります。

映画美学校HP

朝倉加葉子 映画美学校フィクション・コース第8期生。『クソすばらしいこの世界』、『女の子よ死体と踊れ』、『RADWIMPSのHESONOO』、『ドクムシ』など。

大畑創 映画美学校フィクション・コース第9期生。『大拳銃』、『へんげ』、『かたりべ』、最新作に『EVIL IDOL SONG』。

内藤瑛亮 映画美学校フィクション・コース第11期生。作品に『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』『ドロメ』など。

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話の渦が竜巻きになるまで、そう長くはかからなかった。『SHARING』は決してコメディ映画ではないのに、この座談会ではみんなよく笑った。映画への深い理解を礎にして、彼らはあっという間につながりあう。その様子を、これからお届けします。

映画美学校HP

佐々木敦:1964年生まれ。批評家。HEADZ主宰。今年に入ってから『ゴダール原論』(新潮社)、『例外小説論』(朝日選書)、『ニッポンの文学』(講談社現代新書)と三冊新刊を出しました。

松井周:1972年東京生まれ。劇作家・演出家・俳優。1996年、俳優として劇団青年団に入団。俳優活動と共に劇作・演出家としても活動を始め、2007年、劇団サンプルを立ち上げる。2010年『自慢の息子』が第55回岸田國士戯曲賞を受賞。ハイバイ公演『おとこたち』全国公演に俳優として出演中。http://hi-bye.net/plays/otokotachi

三宅唱:1984年札幌生まれ。映画監督。『THE COCKPIT』『Playback』『やくたたず』など。「boidマガジン」にてビデオダイアリー「無言日記」シリーズを連載中。雑誌「POPEYE」にて映画評みたいなエッセイを書いたりもしています。たまにPVもつくっていて、最新作は→https://www.youtube.com/watch?v=MzMkkxAJHXo

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あれは『ジョギング渡り鳥』上映最終日の打ち上げの時だ。並み居るビガッコー修了生たちに「次のB学校は何やるんすか」と聞かれて、この二人に話を聞くよと伝えたら爆笑が沸いた。「そりゃB学校にしかできないっすよー!」そうでしょうそうでしょう。おまたせしました、「かつて映画美学校の階上にあった映画館『オーディトリウム渋谷』の支配人兼映写技師とその助手」でありながら「みんなにわかる言葉で映画を解体してくれる映画ライターと、これから語る映画の出演俳優」でもあるふたりによるごぶさた対談、スタートです。

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ずいぶんと前から、知っていたはずの映画でした。
ですが3月末、改めて試写を観たところ、
なんだろう、ちょっと説明のつかない感情になりました。
ためしに、書いてみます。(局長オガワ)

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これを収録したのは去年末である。前回掲載した座談会には日程が合わず、けれど彼の中には『ジョギング渡り鳥』にまつわる言葉がどうやら溢れかえっており、それを存分に吐き出していただくべく、映画美学校近くのガストで落ち合ったのだ。そこにあったのは、観客としてだけでなく、同じ「映画の作り手」としての熱い眼差しなのだった。

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彼らとアクターズ・コース第1期生の出会いは5年前にさかのぼる。1年間のカリキュラムをいくつかに分けて、それぞれの授業テーマのもと、順番に授業を受け持った。今日はその、最初の教え子たちの成果が詰まった映画について、みんなで語る会なのだ。(※松井さんは花粉症のためマスク着用でおおくりいたします)
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